初めてこの人の名前を知ったのは、
坂本龍一の映画サントラ
「愛の悪魔/Love Is The Devil」を買った時。
(いちおう知らない方のために説明するとベーコンの伝記映画ね)
その時は音楽にばかり気が向いていて、映画も見なかったしベーコンのことも調べなかったわけです。
「世界史でおんなじ名前の学者が出てきたよな」ぐらいのもんで。
実際にはピカソと並ぶくらいの評価を受け、オークションでも非常に高値がつくようなすごい人なんだとか。
いや、
無知って恐ろしいね。でも、日本じゃ
30年前に個展が開かれたっきりらしいから、日本人にはあんまり馴染みのない画家ではある・・だろう、たぶん。
そんな人の回顧展がついに開かれるということで、行ってきました
竹橋に。
駅から北の丸公園に続く歩道は
花見目的であろうお年寄りたちと、
卒業式終わりらしいスーツと袴の学生たちでいっぱい。
じ、邪魔くせぇ・・・。ていうか、
今年の桜は色味が薄いね。変なタイミングで咲くと、いつもこんなだわ。
まぁ、それはさておき、
絵の感想。「叫ぶ教皇の頭部のための習作」とかを画像でチラ見した時には、なんていうか
エゴン・シーレとか
エドヴァルド・ムンク(初期ね)に近い作風なのかな、と思ってたんですけどねぇ。
実物を見ると、なんかそうでもない。確かに、グロテスクなデフォルメなんだけど、シーレみたいな
生々しさとか、ムンクみたいな
不安感とか、何よりこの2者に共通してる
「死」のイメージがこの人の絵にはない感じ。(解説見たら、テーマに「死」なんてなかったし)
特に嫌悪感もなく見れてしまった。
なんでか?
個人的には
「洗練されてるから」じゃないか、と。
なんていうか、どんなにグチャグチャにデフォルメしてても
スタイリッシュなんだよね。
ベーコン本人はゴッホを尊敬しているらしいけど、ゴッホの絵にある混沌とした情念みたいなものとも違う。
この人の絵にいろんな芸術家が影響されるのは、このスタイリッシュな部分なんじゃなかろうか。
「かっこいい」というか
「クール」というか。
「理知的」という方が正しいのかな?
いずれにしても、
感覚全開でキャンバスに自分を塗り込んでいくんじゃなくて、一歩引いてる感じ。本人はインタビューで
「意識的には何をしているかわからない時に仕事がうまくいく」みたいなことを言ってたけど、ひとつのテーマを手法を変えて何枚も描いて比較する、なんていうやり方は、やっぱり
冷静なスタンスだと思う。
ちなみに、展示されてる作品数は
ちょっと少ないけど、7~8割が縦横1.5m近い
大きいものばかりなので、
見ごたえは十分あると思うよ。
ついでに言うと、この国立近代美術館は
近現代の日本画家の作品所蔵が粒揃い。常設展もおすすめです。
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